難波も七十九銀行が支払い停止・加野銀行には格別なおなご登場するか?
朝ドラ「あさが来た」加野銀行が大ピンチ!大阪に恐慌の嵐が・・明治維新後の大阪に最大級の危機が訪れています、円は、ご縁だすさかいなとなるか
御一新以来の大坂恐慌に銀行がバタバタ潰れます
加野銀行にも預金者が続々引き出しにどうする?
あと新次郎が取った対応とは?
榮三郎や平十郎たちの動きが慌ただしくなりました
加野炭坑銀行の各支店の部長や係長に電信を打って本店に召集をかけました
東京にいるあさには至急戻って欲しいという連絡をいれています
弥七と祐作が表に出て銀行開店の準備をしていると白岡家の方からは千代とうめが啓介を出迎えようとでてきました
千代はいそいそしています
そんな中を険しい目つきの男立ちがあとからあとから集まってきました
おい!頭取はいてるか?
まだ開店前だすさかいと祐作が応対します
さてはこの銀行も危ないんやな
難波銀行が倒産しそうやて聞いたさかいな!
お前んとこも逃げる気やあらへんのか?
祐作と弥七は声も出ず手振りするだけでした
頭取に合わせろと弥七と祐作に激しく詰めよりました
難波銀行が支払い停止にしたために倒産思想だという噂が広まって預金者が払い出しを求めています
なんと加野銀行にも波及しそうなのです
銀行の中では榮三郎や平十郎達が騒動への対応を迫られていました
あきまへん
とうとう難波銀行のとばっちりが来ました
大阪はもう、どの銀行も預金者が詰めかけてるみたいです
平十郎にも打つ手がありません
今回の取り付け騒動は前の年に清で起きた大きな戦乱のあおりを食ったものでした
あれで日本と清国の貿易が止まってしもて、それで今までその商いでもうけてきた大阪商人がいっぺんに金が回らへんようになってしまいましたのや
榮三郎が大体の経緯を藍之助や行員達に説明しました
へいさんやっぱり預金者に安心してもらうためにも支払うた方がええのやないやろうか
へえ、いいや、あきません!こないな騒ぎになってしもて、言いなりに預金しはらってたら一体どないな学になってしまうかわかりません
榮三郎がこの場はよほどの理由のないかぎりうちも一時支払いを停止するべきです
わてらが扱っているのはお客さんのものです困っている時にかえされへんのはおかしのと違うか?
確かに・・
そこへ祐作が飛び込んできました
話し合いにもならしまへん
返してくれの一点張りで!
榮三郎と平十郎とで意見が割れた時、店の一角から
えらいことですなぁ~
という声がしました
新次郎です
何のんきにお茶のんではりますのや、お兄ちゃん!
榮三郎がむっとして言います
わてなんかが深刻ぶって眉間にしわ寄せたかて何の役にもたたれへんさかいな
それにお前が小ちゃい頃にもこないなことあったなぁてな
新政府の制作で銀目廃止になった時にも両替屋だった加野屋の店先に殺気立った人たちが押し寄せました
当主だった今は亡き正吉が腰が抜けて動けなくなり、新次郎は騒動が苦手だとへっぴり腰で動こうとせず、「あんたは格別なおなごや」とあさを前面に押し立てたのでした
この時あさは誠実に一人一人から事情を聞いて、できるだけ銀目手形の引換に応じる事で危機を乗り越えたのでした
さて、わての格別なおなごはんがぼちぼち帰ってくる頃と違いますかいな?
新次郎は微笑んでいるのでした
その頃、東柳啓介が加野銀行まの近くまで来ると、店の前に人だかりができています
道の隅では、千代とうめがこわごわ成り行きを見ていましたが、啓介が来たのに気づくと
こっちこっちとそばに引き入れました
そのすぐあとで、道の反対側から、あさと亀助が急ぎ足で歩いて来ました
加野銀行の前の人だかりを見ても驚きません
のんきにあさが言います
前にもこんな事ありましたなぁ~
亀助が、御一新あとの銀目廃止の時だすわぁ~
懐かしいなぁ~
どないなっとんのや!
弥七の頭に靴がぶつけられました
誰やこないなもん投げたんわ~
よっしゃ行きましょ!
平然と店に向かうあさを集まっていた人たちが口々に預金は無事かと聞きながらわっと取り囲みました
加野銀行が危ないいうて聞いたんだが
まだ開店まで5分ございます
お待ちになってくれやす
ワシは預金者やで預けた金が無事かどうか説明してもらわなあかん!
無事に決まっております
信用してお待ちになっておくれやすて申し上げれるんだす
一人の男が発した一言にあさは足を止め、毅然とした態度で周囲を見回しました
加野銀行が潰れた聞いたで!
尻馬に乗って一緒に詰めかけてる人達が
そや!ええ?
はぁ~?誰が言いましたんや?そないな事
何根拠にそないな事言わはりますのや
加野銀行には両替屋時代からの伝統と信用がございます
めったなことでびくともするもんやあらしまへん
ええかげんな事いうてもろたら困りますながな!
どうかわたくしども信用してあと5分
あと4分お待ちなってくれやす
そのあさの迫力には皆が鎮まりました
あさは亀助が取り出した時計を見ました
開店時間まであと4、5分ある
加野銀行を信用して開店時間まで待ってくれと言い残すとあさは店内へ入って行きました
榮三郎がつかさず、難波銀行があかんようになりましたわと報告します
あさ、平十郎、榮三郎、亀助は今後の対策を講じるために役員室に集まりました
榮三郎は恐慌が日本中に飛び火する事を恐れています
加野炭坑銀行がほかの銀行の巻き添えを食らって共倒れに成ることを警戒しているいのです
あさは加野銀行と難波銀行の違いを指摘しました
難波銀行の方取引先がどんどん倒産している状況です
きっとあの頃の両替屋のようにようけ銀行が潰れますやろうなぁ~
大丈夫だす、うちのお得意さんはおおかた経営もしっかりしてはります
表にいてはる預金者には店空けて全額払いまひょ
へえ??
何のために炭鉱売ったと思ってますのや?
あさが炭鉱を売却して資金を作っておいたのも、この恐慌を見越しての事でした
そない言いますけど奥さん、しかし平十郎は加野銀行だけが支払いに応じれば、この先どれだけの客が詰めかけて預金を引き出すかわからないと反対するのでした
そやけど恐慌言うたら日本そのものの危機だすわなぁ政府がほっとく訳あれへんて思いありまへんか?
あさはこの緊急辞退さえ踏みこたえれば、日本経済そのものの危機でもある大阪金融恐慌に対して政府が何か手を打つはずだと考えています
その政府で働いていた私がまずいと言う手るんです!
ところがそれも平十郎に言わせれば期待出来そうに無いらしい
元は大蔵省の会計監査院で働いていただけに平十郎の言葉には信ぴょう性があります
あらま
目を丸くするあさでした
そこに新次郎が入って来ました
最初から会議に参加していたような顔で話始めます
そうだすな、へぇさんの言いはる事分かります
そやけどどなんやわては、銀行のか見さの言葉思い出してもうてなぁ
あさが打てば響くように応じました
あぁあ信用第一、信用がお金を運んでくれるてなぁ
他の銀行が支払われん中、うちが無理してでも払たらお客さんはきっと喜んでくれはる
そしたら、きっと信用してお金預けてくれはる
円は、ご縁だすさかいな!
旦那様
あさが頼もしそうに新次郎を見る
新次郎が指で丸(円と)をつくると
榮三郎も
そういうたらお父ちゃんも、ようそない言う手ましたなぁ
あさが平十郎に向き直りました
へえさん、どうか頼みます
甘い奴らやなぁて思いはるやろうけど
これがこの加野屋のやり方なんだす
平十郎は自分の意見を引っ込めました
へえッ!
よっしゃあ、こないなったら腹くくります
よっしゃ払うで、店開るで!
へい承知!
一部始終をなんと東柳啓介が見守っていたのでした