東京から帰ったら黒い噂が立ち込め「おなごの教育」は道楽だと言われるあさ
東京へ行った白岡あさは当初の思惑どおり日本中に大きな影響力を持つ大隈重信の協力を得て東京での協力者集めは順調に運びました
東京で大隈重信の賛同が得られた事
奥様の大隈綾子さんのおかげもあって協力者が集まった事を手紙に書きます
大阪の中之島事務所であさの手紙を受け取った成澤泉は大喜びです
さすが白岡あさだ!
ところがあさが東京から大阪の加野屋に帰って来ると様子が一変していました
加野銀行の奥の部屋では緊急会議行われていたのです
よのにかの、新次郎、うめが深刻な顔をしています
どないしたんだす?
みんな浮かへん顔して
おかえり・・初めて見る新次郎の暗い顔です
榮三郎がお姉さん困った事になりました
席を改て平十郎を交えて話をし始めました
お姉さんがおなごの教育に夢中になっている話がもう広まってしまいましてなぁ
平十郎があさに説明する
それはホンマの事やから仕方無いとして
この銀行の沢山の儲けを事業に回すと
悪い噂が立って
誰がそないな事?
思いもよらない展開に驚くあさ
大事なお金預けてるゆうのに
大学校などに使われてたまるか!
言うて預金してはるお客さんがようけ取引辞めに来てはるんだす
そんな・・・
確かに店のカウンターにはそれぞれ客がびっしり
藍之助も店頭にでてお客様にしきりに首を横に振っています
どうやら預金を引き出しに来た顧客に預金は女子大学には使わないと説明している様子です
そんな事情をまだ知らないあさは
そやけど東京では大隈さまやようけのお方がこれはえらい大事な事業や言うて協力する言うてくれはりますのやで
東京では・・・どない事になっているのや知りませんけど
大阪では事実こないな事になってますのや
畳み掛けるように榮三郎が話しかける
奥さん前から言おうと思ってましたんや
成澤さまは立派な教育者かも知れません
だけど私の目からみたらあのお方はこの銀行にお金を預けておりません
融資をする予定も無い
この加野屋の商いにとってなんの関わりあいも無いお方です
おなごの大学校に力入れているのは奥さんの道楽です
道楽・・・
そう言って絶句するあさ
まだまだ平十郎の説教は続く
そんな事に元々無い時間を使ってお金も使って
こんな事続けられたら私らもかないません
そやけどうちは・・・
あさは反論しようとすると
あさ
新次郎が制止する
すんまへん迷惑かけてしもて堪忍だす
うちちょっと店見てきます
ああ
いいやお姉さん
榮三郎が罰の悪い顔をしています
この話落ち着くまでしばらく店のほう顔立さんといてもらえますか?
頼みます
分かりました
そう言うしかないあさでした
なんと榮三郎と平十郎が深々を頭を下げるのでした