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ゲゲゲの女房・総集編第2部・水木しげるさんを偲び再放送・貧乏神編

NHK朝の連続テレビ小説放送総集編です2015年12月12日(土)再放送

水木しげるさんの奥様【武良布枝さん】にゲゲゲの女房で布美枝さん役を演じる松下奈緒さんがインタビューをします

松下:いよいよ総集編第2部では東京に来て調布編がはじまるんですけど
調布に来てからもまだまだ大変な時期がありましたよね

布枝さん:調布に来てからが新しい生活がそれは大変でした、まあ、色んな展開がありましたからね

布枝さん:それに徐々になじんで、私も環境の変化に順応する事も自然に身についたと思っています

松下:ドラマでは赤貧や貧乏を全面に押し出して作ってましたけど、実際はあういう感じだったんですか?

布枝さん:お金が無いって事はこういうことかと改めて思いました
お金が潤徳にある家に育ってはいませんけれども、だけど本当に無一文というものはこういいうものかと思いました
無一文というのはこういう事かと、今は笑って言えますけど、それは惨めでした

松下:変な話明日食べる物が・・・・笑い 

布枝さん:まぁ飢え死にしなかったからいいやって・・・笑い

松下:赤ちゃんのミルクが買えないとか水道代、ガス代とか・・・ねぇ・・・

布枝さん:それはもう惨めなんですけども・・
そこで惨めになっても仕方が無いと私も、もう思うことにしてましたからね、その時はもう・・・

松下:そう思えるっていうのがすごいですよね

布枝さん:主人の雰囲気が明るいというか深刻な場面に遭遇してもまあ、頑張り通すという意気込みでやってることは分かってますしね、そこで私が何か愚痴ってもしょうがないですから
私は徐々に順応して調布の人間になりました

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それでは第2部の始まりです
貸本屋「こみち書房」にて
読者の集い?!

うん!土曜日の午後

あら~えらい急だわね?

貸本屋「こみち書房」女主人田中美智子は東京での暮らしを支えてくれました
調布の星 水木しげるご来店
吉田茂ならまだしも水木しげるで人が集まるの?

そんな事言わないでよぉ~
布美枝さんのお父さんも見にいらっしゃるんだから

田舎からでてくるんだ

そうなのよぉ~

だから人が有るまらないと困るの
良いとこ見せないと布美枝ちゃん立場無いじゃない!

貸本屋「こみち書房」女主人田中美智子とは
布美枝が上京1日目に置き引きにあったのを助けてもらって以来の付き合いです

なんと鳥取から源兵衛が前触れも無しにやって来ました
戌井の提案に乗って読者の集いをする事になったのです

ほうがいに宣伝しちょるなぁ
嬉しそうな父親、源兵衛

父親と一緒に貸本屋へ様子を見に行った布美枝
何故か大盛況です
長い行列ができています

近くの喫茶店ではこんな会話が飛び交っている
コーヒーを飲んでいる貸本屋の旦那さんに話かける
ほら!色紙、妙なもんだねサインもらってきたけど

漫画家の先生
うちの質屋の常連なんだからさ

サインなんて質草返す時に何度ももらってるっつ~の
俺の目当てはコレ!
紙を見せる

貸本無料券・・
アレ知らなかったの?
サインをもらった人は漏れ無く貸本のダダ券がついてくるっていうんだから行列ができる訳よ
奥さんうまい事考えたね~

源兵衛:あ~あいつこんな事してたんだ・・・

なかなか人が集まらないもんだからサクラ総動員したんじゃないの?
サクラ満開と言って無料券を持った手を挙げると

その無料券を引き抜かれる
あれ?

水木しげるのサイン会場では
ありがとうございました、おかげで盛り上がりました
貸本屋「こみち書房」女主人田中美智子に水木しげるが話かける

お店大丈夫ですか?
コレ落ちていましたよ

道理で途中から客が増えてきた訳だ

申し訳ありません・・謝る女主人田中美智子
すみません勝手な事して

戌井が景品付けるのも戦略の一つですから
おかげでどうにか格好もつきましたけん

源兵衛:格好がついたとはどういう訳だ!
貸本屋の中で源兵衛が水木しげるを睨みつけている

源兵衛:お前わしを騙しとったんだな!
えっ?

源兵衛:さっきの行列は景品でつったもんじゃないか?
親の目は節穴では無いぞ!一生懸命働いてそれでも貧乏なら堂々と貧乏しとればいいんだ!

源兵衛:それを回りの人まで巻き込んでええ風に見せようとするお前たちの考えが気に入らん!
すいませんとひたすら謝る布美枝でした

そこで女主人の田中美智子が
お父さん待って下さい
違うんですよ!このサービス券は私が勝手に付けたものなんです

源兵衛:なんですと?(驚く源兵衛)

本当に申し訳ありません
無理を言って先生に来て頂いたので一人でも多くお客さんを集めたくて

それを言ったらそもそもこの会をやとうと言ったのは私でして

源兵衛:あんたはなんだ?
漫画家仲間です
源兵衛:漫画家仲間??

さっきの出版社の深沢!!
源兵衛:この本はどげんなものでしょうか??

余人をもって代え難い才能と言うべきでしょうな
鬼太郎夜はいずれ、必ず高く評価されると
源兵衛:漫画の事を大いに褒めとったがほんならあれも芝居か?

戌井が弁明する
深沢さんはこの会を知ってわざわざ駆けつけてくれたんです

あ~っ!わしはもう、何を信用していいか分からんわ!
困惑する布美枝

茂さん

はい

源兵衛:あんたはもっと堂々とした男だと思っとった
娘がなにを頼んだんか知らんがこげな小細工に手を貸すとは

茂:どうも
すまん事しまして

源兵衛:ええ男に嫁がしたとおもっちょったと思ってたが
わしの間違いだったかのう?

布美枝:そげな事言わんで!
お父さんは何も知らんからそんな事言うんだわ

布美枝:うちの人は小細工なんかせんですよ、何言われても堂々と自分の好きな漫画に打ち込んで

いる

茂るの横に布美枝は駆け寄って
私はよう知っとります、夫婦ですけん

うちの人が精魂込めて描いているとこ一番近くで見てるんですけん
間違いだなんて言わんでごしたいい
涙を流しながら訴える布美枝でした

布美枝:うちの人は本物の漫画家ですけん

もうええ!なっ
茂るが声をかけます

布美枝:けど・・・
ちょっこしええとこ見せようとしたのがいけんかったな・・
頷く布美枝でした

源兵衛と並んで歩く布美枝
源兵衛:頑張れよ!
布美枝:はい

源兵衛:40年50年と連れ添う時には、ええ時も悪い時もある、ええ時は誰でもうまくやれる
悪い時にこそ・・・人間の値打ちが出~だけんな
布美枝:はい

源兵衛がそっとはなかみに包んだお金をそっと手渡してくれた

源兵衛:化粧品でも買えやい
お母さんには黙っておけよ
手紙に書いたりするなよ

布美枝:だんだん、なあ、お父さん
源兵衛:なんだ

布美枝:お金は無いけど・・私毎日笑って暮らしとるよ
源兵衛:そげか?
布美枝:うん

出口の見えない貧乏暮らしの村井家

場面が変わって
家計簿を付ける布美枝
家賃1500円

はぁ・・・ため息をつく布美枝

お婆(祖母の遺影に声をかける)
最近チョッコシ楽になって来たよ

三海社からは「鬼太郎夜話」の原稿料が順調に入り
わずかながら、やりくりはほっと一息のはずでしたが・・

茂:う~ん、うまくすすまん

回想
深沢さんしっかりして下さい
深沢さん!
深沢さん!

深沢が病に倒れて三海社は倒産
茂るの原稿も原稿料と共に消えてしまいました

いや・・・やるしかない
茂るはこれまで付き合いのなかった出版社の仕事もするようになりました

布美枝は靴下の穴などを見ながら
いや、まだまだ
ここからが勝負だとわ

ところが・・・
(茂の身体に異変が・・・)

あれ?おかしいな目がしょぼしょぼする
布美枝:おあらどげしました?
原稿を届けにいくと出かけようとしている茂るは高熱でした

茂るの代りに原稿を届けに行きました

すると出版社では原稿料を5千円しかくれません
茂:1万円との約束だと主人から聞いておりますと返すと

こっちは人助けのつもりで仕事をお願いしたの
けど・・・
えええ?
不服だったら持って帰って下さい

原稿を落としてしまったので拾い上げると
それは水木洋子という女性名で
中身は女性用の漫画でした

出版社の社長から経緯を聞いて
帰る途中の公園のベンチに座り泣く布美枝
こんな辛い思いして仕事しとったんだ・・・

布美枝:ただいま帰りました
元気よく帰った布美枝

珍しく珈琲を買って帰る
布美枝:コレ飲んで頂きたくてと差し出す
珍しいなぁと声をかける茂

布美枝:入れましょうか?ああ風邪の時に珈琲はいけんかな?

茂:いいぞ俺が入れる

布美枝:私は良いです
あなたの珈琲ですけん

茂:遠慮するな
あんたも嫌な思いして原稿料もらって来たんだろ?

布美枝:えっ?

茂るが砂糖を入れながら
茂:もう一つ入れるか?

涙ぐむ布美枝

茂:相当言われたな?
漫画見たのか?

布美枝:はい
驚いただろうなぁ
布美枝:なんも話してくれないんですもの・・

茂:柄にも無い少女漫画描いて
名前も女の名前で今度ばかりはちっと具合悪くて

仕事部屋には入れてもらえないし
私恨んでいたんです
知らん女の人は部屋に入れるのにって

だら~何言ってる!
どげんしたら女の読者に受けるか悩んどることに
天の助けか、少女漫画家が現れたんだ

回想シーン
茂:はぁ~目の中でようけ星が光っとるなぁ

こちらが作者(紹介される)
茂:こちらの坊やが?
私女ですけど・・・(河合はるこ)

布美枝:すんません、けど名前まで変えるなんて

茂:う~ん
あげなことは構わんのだ

茂:えっ?

茂:名前を変えた方が売れるんなら変えた方がええ!
名前を変えても絵を描いて生きていくんは変わらんのだけん

茂:それでええんだ!
あっ
いっその事もっと洒落たペンエームを考えておくか?
水木洋子っていうのは間に合わせで
あ~2度は使えんけんな

布美枝:そげですね~

茂:あんたなんか考えろ!

布美枝:分かりませんペンネームなんて
茂:ならあんたの名前で描こうかな?

布美枝:駄目です!

茂:駄目なら何か考えろ!
布美枝:え~っほんなら、テツ・ポチ・ハチ!

茂:だら!犬の名前考えてどうする?
布美枝:すいません

茂:あっ~ごちゃごちゃ言っとって
砂糖いくつ入れたか分からんくなった~

茂:はい出来たぞ!
布美枝:うん美味しい♪
茂:美味いな!

貸本業界は苦しくなる一方でした

布美枝が生活の為に働きに出ようとしたいて矢先の事

もしかしておめでたでないの?
できたんじゃない?赤ちゃん

産婦人科で診察してもらった布美枝
お目出度ですね!
赤ちゃん今2ヶ月ですね

布美枝:あの・・・先生
(医者)はい?

布美枝:赤ちゃんですか?

はい

おめでとうございます

驚いて
布美枝:ありがとうございますが精一杯でした

布美枝:ただいま帰りました
どうしたんですか?

茂:中森さんなぁ
大阪に帰るそうだ

中森:私もう漫画家は断念しました
実はもう3ヶ月以上女房に金を送ってないんです

布美枝:奥さん、子供さんと一緒に実家にいらっしゃるんですよね?

中森:ええ子供3人連れて親元に身を寄せているのですが、親が病気になりまして
上の子高校に行きたいと言ってるのですが・・・学費はおろか給食費すら払えない有様で

茂:子供がおる人は大変だなぁ・・・
食べさせて、着させて、学校行かせて
病気もすれば、怪我もする
貸本漫画書いていてはとても子供は養えないなぁ

布美枝:布美枝は身ごもった事を言いそびれてしまいました

近所を歩いたらご近所の人が駆け寄ってきた
布美枝ちゃん所長から聞いたわよ!
あんたやっぱりお目出度だったんだってね
よかったわねぇ~
布美枝ちゃん!

貸本屋の女主人も姑と一緒に出てきて
良かったわねぇ~と声を掛けてくれました

お世話になっている貸本屋にあがり込み
相談する布美枝

布美枝:丁度中森さんの事もあって
子供がいると大変だ貸本漫画じゃとても育てられないって
うちの人が言うもんですから

美智子:でもそれは先生がまだ子供が出来た事を知らないからでしょ?

布美枝:食べて行くのがやっとなんです
この先どげなるのか・・
働いても働いても・・
どんどん貧乏になるような気がするんです

布美枝:喜んでくれんかも知れん
困らせるかも知れん
そげん思ったらなかなか言い出せんのです

美智子:子供が出来た事が力になるかもしれないわよ!

えっ??

うちの亡くなった子供
智志(さとし)って言うんだけどね

智志がお腹にできた時は戦争中
仕事から戻って来たうちの人にね
子供ができた事話たの

そしたら何にも言わなずにプイって出ていって
でも・・・しばらくして戻って来た時
シャモ持って帰ってきたの
コレ食って元気な子産んでくれって
喜んでくれるわよ

はい・・布美枝は頷きました

美智子の言葉に背中を押されて布美枝は授かった新しい命の事を茂るに打ち明けたのです
ところが・・・

実家に戻り逡巡している
困った顔しとった・・・
祖母遺影の前でうなだれる布美枝

回想シーン
布美枝:赤ちゃんが生まれるんです

沈黙したのち
茂:子供は大変だぞ

お腹に手をやりながら
布美枝は
あの人喜んどらんだった

布美枝から電報が茂に届く
「シバラク コチラデ スゴス」フミエ
茂:あいつ帰って来んつもりか!(舌打ち)
勝手にせい!
電報を放り投げる茂

実家に帰っていた布美枝
母親が村井さん電話の一本かけて来たら良いのに・・・

ため息の布美枝
布美枝:私がおらんでも困らんのよ
一人でやって来た人だけん
本音のとこは
家族がおらんでもええと思っとるんだわ

だけん先の事も考えんし子供の事だって

電話が鳴る

塚本です
あら林さん?PTAの事で
どうやら電話は母親の知り合いのようでした

心配しとらんのやろか?

母親はまだ電話中
呼び鈴が鳴る

誰かしら?ふみちゃん出てくれる?

うんと頷いて
布美枝:は~い

玄関に出るとなんと茂るが立っていました
布美枝:あら?あなた?

おっ!
迎えに来た茂るが立っていました

茂るは右手に風呂敷包みを下げている
布美枝:勝手な事してすいません
公園に佇む二人

布美枝:迎えに来てくれるとは・・・思わんかった
大変なのは分かっとります
今でも苦しいし不安ですけど・・・

布美枝:なんとかなると思うんです
あなたも私も遅い結婚でしたけど
こうして子供が授かりましたけん
せっかく授かったんですけん大事にしたいんです
私・・・産みます

じっと話を聞いていた茂る

茂:やっと口を開いたと思ったら
映画でも見て帰るか?

布美枝えっ??

茂:せっかく二人で出てきたんだ真っ直ぐ帰ったら勿体無い
今のうちだけんなぁ
子供が生まれたら、二人で外には出られんぞ!
ブランコに乗り揺られながら話す茂る

茂:まあ、今までも揃って出掛けた事なかったか・・
ハハハハハ

茂る:いきなり聞いたんでビックリした

子供のこと

男には心の準備がないけんな~
まあなんとかなるだろう・・・

布美枝:はい!
やっと笑顔になった布美枝でした

調布の家に戻った布美枝
は~い!
誰かが訪問して来ました

布美枝:美智子さん・・・
靖代さんから聞いたわよ
塩抜きでも美味しい料理作ってきた
減塩料理もいくつか考えて来たから試して見て
風呂敷包みを手にしていました

布美枝:美智子さん
大丈夫よ!自信を持ってきっと無事に生まれるから
励ましの言葉を掛けてくれる

美智子さん来てる?
どうしたんですか?
みんながおむつのお古
新品より柔らかいし、これがまた良く吸うのよ

婆ばの使い古しのタオル
ベビー服のお古
みんなで応援してるから安心して!
布美枝:はい

12月24日クリスマスイブ
茂が入院の荷物を持って病院に来る
生まれたぞ!大喜びする茂

予定日より少し早く生まれました
3100グラムの女の子です

病室を見舞うと看護師が
お父さん似ですね!
ほうらほっぺがぷっくりしてる

布美枝:女の子です
布美枝が言うと

茂:そげか・・・
大丈夫か?
布美枝をいたわる茂

茂:ご苦労さん、お母ちゃん

布美枝:だんだん、お父ちゃん

退院した布美枝
藍子が生まれてからも村井家の暮らしは一向に楽になりませんでした

水道代の集金がきても居留守を使う
藍子が泣くの見つかってしまう

半年前に始めた戌井のお北西出版は本を出す度に赤字が増える
事務所を引き払い国分寺の貸家が自宅兼事務所になる

原稿料を取りに来た茂るに
戌井:すいません・・・今日は半分しか払えんで・・

それでも茂るは
茂る¥:まあ、ええですと言って受け取る

次はなんとか、頭を下げる戌井

劇画ブック売上はいかがですか?
茂が質問する

内容は良くなっているんですが
売上は下がる一方で
意気込んで出した作品は軒並み撃沈という

半年も経たないうちに事務所たたんで長屋の片隅で仕事してる訳ですから我ながら情けないです

戌井の娘恵美が原稿を見て
怖いよ~
と言って逃げ出す

戌井の嫁:泣いてるじゃないの!
戌井の嫁がたまにはこの子が喜ぶような漫画も作って下さいね!

馬鹿!僕は大人ば読める漫画を目指してるんだ
戌井の嫁:そう言ったって食べていけないんじゃどうしょうも無いじゃないの!
戌井:理想をあげて何が悪いんだよ!其のために出版社を始めたんだぞ

戌井の嫁:日本一小さい出版社ですけどねぇ~
返す言葉がない戌井
すいません、会社の経理全て任せているもんで、どうにも・・

茂が声をかける
奥さんなかなかええこと言いますな!

えっ?聞き返す戌井の妻

日本一小さな出版社

茂:ええじゃないですか、気安そうで、どことな~く今後の可能性も感じさせますよ
ほんなら・・また

原稿料をもらって北西出版社を後にする茂
その夜深夜を過ぎても茂は戻って来ませんでした

家で待ってる布美枝が藍子に話しかける
お父ちゃん遅いねぇ~

朝方になってやっと茂が戻ってきました
憔悴しきっている茂
玄関に座ったままです

心配する布美枝
どうしたの?戌井さんの所へ泊めてもらったんですか?

茂:いや!道に迷っとった

布美枝:ええっ?

茂:戌井さん家を出て雨も降っとるし多摩霊園を通り抜けて近道をしようと思ったんだが
出口が無いんだ・・・

布美枝:どういう事ですか?

茂:分からん
何度も通りぬけてるのに
ゆうべは走っても走っても墓場から出られんのだ
真っ暗い迷路の中を走ってるようだった

茂:おい・・原稿料これだけだ・・・

布美枝に渡そうとしてこぼれ落ちるのは
小銭のみ
戌井の所では札束だったのに・・・・

茫然としながら仕事部屋に入っていく茂

布美枝はなんだか嫌な気持ちがしました
走っても走っても暗闇から抜け出れない自転車

それは・・・出口無しの貧しさの中であえぐ
自分たちの姿のように思えたのです

ある日美智子さんの貸本屋の前を通ると
漫画は明るく健全でなければなりませんわ
漫画は良い子のものですよ
不良図書から守る会としましては
小中学生に不良図書を貸し出さないように要望します

子供の俗悪低級な漫画を撲滅させる・・・
現場を通りかかった布美枝は心配になる

漫画の主流はすでに週刊漫画雑誌に移っていました

そしてテレビまんがの時代が本格的に幕を開けました
貸本漫画はますます時代から取り残されていくようでした

北西印刷へ原稿料を取りに行った茂
しかし戌井は印刷料を払ったとかでズボンのポケットをひっくり返して見せるほどお金が無いと言

暮れまでには必ずなんとしかますと頭を下げる

茂は仕方なく
茂:宜しくお願いします
うちも少しくらい無いと年が越せんですから・・

戌井:本当に申し訳なんです

トボトボと自転車を押しながら歩き始める茂がふと振り返ると
まだ戌井が見送ってくれている

なんとその傍らに貧乏神が杖をついて立っているではないか
それを見た茂が

戌井:あいつやっぱりここに
ため息をつく茂
どこもかしこも貧乏神に取り憑かれているようでした

原稿を持っても安く叩かれる
描いても描いても貯まるのは質屋の札ばかりです

どこまでも続くぬかるみのような貧乏暮らし

その中で・・茂は連合艦隊の模型作りを始めます

回想(政志)俺には分かるよ
そう芋ん作る男の気持・・・
どうしょうも無い時何か熱中するもんが欲しくなるんだ
なあ・・・

複雑な思いの布美枝
何故か布美枝も模型作りを手伝う事に

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そしてとうとうあの人が戻ってきました

郁子:こちら水木しげる先生のお宅でしょうか?

布美枝:はいそうですけど

郁子:ああ良かった
社長!やっぱりこちらのお宅ですって
おおそうか!
姿を見せたのはなんと深沢でした

深沢さん!ご無沙汰しました
奥さん、私また会社を作りましてね

応対する茂
ほう~

嵐星社(らんせいしゃ)と言います
忍術秘帖という漫画を見せる

水木さん忍法漫画描いてもらえないかな?
毎月1本短編で

やります
是非やらせて下さい

そうですか
お願いします
布美枝も一緒に頭を下げる

深沢:しかしねぇ、貸本漫画はもういけない
雑誌だね、これからは、漫画も雑誌の時代だよ

しかし貸本から漫画に移る書き手は滅多におらんのですよ

ん~だからね
私自分で作る事にした

ええ?聞き返す茂

だから今漫画雑誌の創刊を進めてところだ

茂:雑誌の創刊?

大手からは色んな雑誌が出ているけどどれもこれも子供相手のものばかりでしょ
私はね貸本漫画の読者、悪魔くん、鬼太郎を愛読する青年達に向けて雑誌を作るつもりなんだ
秋には創刊です、水木さんには是非雑誌の柱になってもらいたい

茂:はい!
おもわず返事をする茂でした

そして・・

茂:出来たな
雑誌をちゃぶ台に置いて布美枝と一緒に眺める
とうとう雑誌に進出だ!

自分のページを見入る
村井家にやっと希望の光が差し始めました


その一方では、こみち書房では日に日に客足が減っていったのです

子どもたちは漫画の発売日になると本屋へ行くようです

布美枝に美智子が、もうこの商売は駄目ねぇ~
地代の値上げも待ってもらえそうに無いし
うつむく美智子

たまたま店に出てきた美智子のご主人に店の行末を相談する
どうしたらいいかしら?
やめちまえよ!
えっ?驚く美智子

だったらやめちまえよ、貸本屋なんか
やればやるほど赤字なんだろ?
だったら辞めちまえよ、貸本屋なんか

なんて事言うのよ!美智子が怒り出します
辞めろなんて
なんでそんなこと軽く言うのよぉ~

うるせいな、俺に絡むなよ

だってそうでしょ・・・ここがあったから今までやって来られたのよ!

悪かったなぁ稼ぎの悪い亭主で!
そんな事言っているんじゃないわ
この店があったから町の人や子供たちが集まってくれて皆で笑ったり泣いたりできた
だからやって来られたの
ここがあったから・・・

あなた・・・私にも自分の人生にも背中を向けたままじゃない
私を許さずいつだって背中で私を責めてる
そんな人とどうやって暮らせば良かったのよ?
黙るご主人

なんとか言ってよ

出てくると言って店を出て行くご主人

子供を亡くし戦争の傷を抱えた美智子とまさしの間には長く辛い葛藤の日々があったのです

おいどこへ行くんだ?
帰ろ・・・
迎えにきました

店に帰ると政志が改まって
俺ここを出ようと思ってる

千葉の鎌田さんから電気工の会社に誘われているの知っているな?

ええ

もういっぺん電気工としてやってみる

長いこと現場離れているから苦労するかもしんねぇけど戻るなら今しかねぇ
一緒に来て欲しい!
婆ちゃんと一緒に3人で行こう

静かに婆ちゃんも聞いています

真知子:そうね~
行こうか・・・
お婆ちゃん、一緒に行こうよ
3人でまたやり直そう

昭和39年10月10日
前の日まで降っていた雨が上がり
真っ青な秋晴れの空が広がっていました

布美枝:どげです?もうすぐでオリンピックのか開始期始まりますけど

わかっとる!
ラジオから音が聞こえないので茂がラジオをポンポン叩く

ちょ・・
そげにたたいたら壊れます

ごめんください

どうしたの?

大変です・・・こみち書房が・・・
店には閉店のお知らせ

慌てて駆けつける布美枝
トラックに丁度荷物を積み終えた所に布美枝が到着する

布美枝:美智子さん!今日が引っ越しってどうして言ってくらなかったんですか?
黙っていくなんてあんまりです

そうだよ!

靖代:美智子さん!美智子さんあんたどういうこと?
私達にまで内緒って随分じゃないの!

ほうら言わんこっちゃない

美智子:あ~あ~今日ならみんな開会式(オリンピック)に釘付けで見つからないって思ったんだ

けどなぁ~

布美枝:美智子さん!

美智子:ごめんなさい、後で手紙書くつもりだったの

布美枝:みんなで送別会しようって計画しとったんですよ
そうよ
そうなのよぉ~

美智子:そんな事してもらったら別れるの辛くなっちゃうじゃない
ほらもう泣き顔
そんな顔みたら、私だって笑ってられない

婆ちゃん:何だよ、またメソメソして
だからね、見送られるのは嫌なんだよ・・・泣き声

政志:あっ先生!(茂を見つける)
俺やってみるよ!今から追いつけるか解んねえけど

はい(頷く茂)

布美枝さん!どこで店を開いても「こみち書房の一番のオススメ」は水木先生の漫画だから

はい(頷く布美枝)

美智子:頑張ってね!

政志:そろそろ行くぞ!

美智子:皆さん御世話になりました

美智子達が乗り込んだ青い色のトラックからはオリンピックの開会式を告げるラジオの声が鳴って

います

美智子達が見送る中、去って行きました

こみち書房の一家が新しい人生に向かって旅立って行ったその頃、一人の男が茂の漫画を読んでいました

豊川悟:いいなぁ、この味のある絵、ザラとくるなぁ~水木しげるは・・・

こちら水木しげる先生のお宅でしょうか?(豊川悟が訪問してきました)
良かった、迷ってウロウロしてしまいましたよ!

あんた誰?

あっ私、雄玄社の豊川といいます

茂:それで話というのは??

布美枝:失礼します

豊川:少年ランドに・・「別冊少年ランド」に漫画をお願いしたいのです

一同:え?へ?おほ?

茂るが意を決したように「かめだ質店」の暖簾をくぐる
茂:ご主人!質流れしたテレビありますか??

ご主人:えっ?

カウンターにくしゃくしゃの封筒と財布をボンと置いて
テレビ買います!

ご主人:え~っ!?

回想
暗闇の部屋で買って来たテレビをつけて見入る茂

豊川:テレビよりも面白い物を描いて下さい、読者の子供達が今夢中になっているものは何と言っ

てもテレビです

茂:ああ

豊川:しかし子供達をテレビに取られては雑誌社は商売になりません!
子供達の目が雑誌に行くようにテレビよりも面白い、インパクトのある作品を描いていただきたい

紙芝居も貸本漫画もテレビに蹴散らされて消えてったようなもんだ

テレビをつけて見入る茂
丁度「醤油ラーメン」のCM(コマーシャル)が流れていました

茂:ラーメンかぁ~
腹へったなぁ

んん?
あれ??
なんとテレビの中に茂自信が登場してテーブルについて美味しそうにラーメンを食べ始めました

茂:ああああぁぁ
思わず叫んだ茂

テレビくんだ
スケッチブックに描いたラフスケッチを布美枝に見せる茂

布美枝:可愛い!

茂:なかなかええだろう!

布美枝:んん
この子がテレビの中を自由に歩きまわるのか

茂:これなら子供にも好かれるな

布美枝:はい

茂:じゃあ続き描くわ・・

茂がつけっぱなしのテレビを見ていると
今度は布美枝が

あっ!テレビくんだ!
ドーナッツのCMの中にもテレビくんが登場
とうとうドーナッツを手にしたテレビくんがテレビの中から飛び出して、布美枝の前に現れました
驚く布美枝

次の瞬間消えていました

茂が描いたスケッチブックのコンテンツのテレビくんに話しかける布美枝
あんた・・いたずら好きだね!

いよいよテレビくんの原稿が仕上がり納品へ
豊川:大変結構です。原稿頂戴致します、ありがとうございました

布美枝が思わずヤッタとつぶやく

週間少年ランドで「墓場の鬼太郎」の連載も始まって・・・
いつもの質屋の暖簾をくぐる茂

質屋のカウンターにボンを何やら白い紙の束を置く
何ごとか?目を丸くする質屋の親父

茂:質草(しちぐさ)受けだしにきました!
全部出して下さい!

質屋の親父が驚いて
なに~!と叫ぶ

嬉しそうに頷く茂でした

大八車に鍋など受けだして家に向かう茂

質草に出していた品物をひも解きながら中身を確認する二人
懐かしいなぁ
背広も取り出してみる

布美枝が手にしたのは結婚する時に母みやこが持たせてくれた青海波(せいがいは)の(ピンク色の)着物でした

早く戻ってくるようにおまじないの紙を入れてあったのを懐かしそうに見入る

回想
あなたも何でも預ける時はこのおまじない紙に書いて貼っといたらいいです

このおまじない効いたのかな?

そこで黒電話がけたたましく鳴る
茂が出る

分かりました・・

仕事の電話ですか?

茂:ああ豊川さんからだ

原稿の催促?
新しい仕事の話??

茂:そげな事でない
茂:賞をくれるそうだ、雄玄社のマンガ賞

え!賞?

テレビくんが今年の雄玄社のマンガ賞に決まったそうだ
ああ、1年に1回しかない立派な賞だ

茂:まぁ俺がこういう賞を貰うのは当然の結果だがなぁ

そげですね!

茂:驚かんのか?

ええ

必ず!こういう日が来ると思ってましたけん
信じられんとか夢のようだとかは一つも思いません

お父ちゃんはそれだけの努力をしてきたんですけん
やっと来るべき時が来たんですよ!

改まって畏まり、おめでとうございます
その場で深々とお辞儀をしてお祝いの言葉を言う布美枝

茂:うん

吉報はすぐさま、布美枝の実家にも知らされました
電話を取った源兵衛・・・えらい事になったぞ・・・興奮ぎみです

ミヤコ:布美枝に何かあったんですか?

村井が賞を取ったそうだ、雄玄社のマンガ賞言っていたな
特級で一番良い酒米樽で用意せえ!祝いに東京へ送るぞ!

ミヤコ:けど村井さんお酒飲めんですけんねぇ

源兵衛:ああぁそうげだったなぁ、下戸な婿はこげな時に困る
ユキエのとこと、貴司のとこと港の輝子のとこにも早いとこ知らせぇ

ミヤコ:はい

回想シーン
布美枝が泣きながら
うちの人は本物の漫画家ですけん

源兵衛:とうとうやったか・・・

早苗:何かあったの?
北西社社長:泣きながら・・テレビくんで雄玄社のマンガ賞だ!
良かったなぁ水木さん、男泣き

思いっきり腕を叩いて喜びを表す早苗
ウイスキー買ってこようか?
今日は飲もう、祝杯あげよ!

部屋の片付けをしている水木
あら・・レコードようけ持っていたんですね

随分聞いてとらんがなぁ~

そういながらレコードを片付けようと部屋のキャビネットの扉を開ける
茂:こらぁ!

茂:あれ!はは
お前小さくなったなぁ

いたたまれなくなって部屋を飛び出す貧乏神
布美枝:何?
あれはなんですか?

貧乏神が逃げていく
消えて行く前に手まえ振っている・・

とうとうあいつとも縁が切れた

空を見上げると星が綺麗・・
流星・・・
清々しい気持でした

とうとう雄玄社のマンガ賞式
ここで言葉を述べる茂

今後も努力を怠らず描き続けていきます
ありがとうございました

弾けるような拍手喝さいを浴びました

ご馳走が出たはずなのに家に戻って太った餃子を喜んで食べる茂

ここからがスタートだ!
決意を新たに漫画を書き始める

布美枝のに脳裏には今までの苦労の数々が走馬灯のように浮かんでは消えている

お父ちゃん・・・
おめでとう・・・つぶやく布美枝でした
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総集編第2部終了

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