あさが来た 和歌山へ菊を説得成功して山王寺屋は新たな出発を決意
惣兵衛がまた失踪したかに見えたのは、はつが譲られた土地の地質や環境を調べる為でした
お母ちゃん説得するには、いっぺん、どんなとこかこの目で見とかなアカン思いましてなぁ
そもそも山王寺屋があないな事になったのも・・・
菊のいつもの繰り返しが始まりかけたのをはつがきっぱりした口調で遮った
旦那さまは決して・・・決して・・お義母様がおっしゃるような弱いお方やあらしまへん!
惣兵衛には昔から軟弱な一面があり、納屋暮らしから逃げ出して賭博に興じた日々もありました
せやけど、旦那様はたとえ弱いとこはあってもずるいとこは一つもない正直なお方だす
性根の温かいお方だす
それに今の旦那さまは昔の旦那さまでありません
お天道様のようにこのみかんのようにピッカピッカや
しかもドン底に落ちて辛酸をなめた分、太陽や土地とともに働く大切さを思い知っています
その旦那様が一家のためやと選びはった道だす、地に足つけて選びはった道だす
どうか、どうか今回だけは旦那様の言い分を聞いたげとくなはれ
旦那様を・・・信じたげとくなはれ
はつが菊の前に手をつきました
菊がいたたまれなくなって出ていくと栄達があとを追いかけました
フン!
外へ出て行く菊
うちかてわかってますわ
惣兵衛の事はうちが一番解かってます
菊は納屋の表に立ってあとから来た栄達を振り返りもせずに言った
自分が育てた息子です
誰よりも良く解かっている、店が潰れた事も惣兵衛だけの責任ではないということも
信じてみよや、あの子らの事を
栄達が肩を抱くと、菊は頬をぬらして頷きました
はつは出すぎた事をしたとおもい
いつものあさのように口を手ではさんでいました
納屋の中では、惣兵衛が感極まったように、はつの手を握りしめていました
わしを信じてくれておおきに!
はつが目を潤ませた時、納屋の戸が開いて栄達と菊が戻って来ました
で、お二人さん、出発はいつにしますのや?
栄達が声をかけました
栄達がニッと笑いました
菊はみかん2つに手をのばして美味しそうに食べ始めました