はつが無事男の子(藍之助)を出産・卑屈な姑菊に惣兵衛早よ帰ってきて
あさが来た・加野屋で子供を産んで正吉も新次郎も大喜びあれがうちの孫やったらと気落ちしておはつが家の嫁やったら良かったのにと失言するよの
あさに会いに来た姉のはつが帰ろうとして様子がおかしくなる
よのが振り返った時青物売りの女が急にふらりとしゃがみ込みんだ
大丈夫?お姉ちゃん
あさが慌ててはつの身体を支える
よのがお姉ちゃん・・と聞いいてやっとあさの姉はつだと悟る
かんにん
どないしょう、お腹が
はつが苦しそうにうめく
あさとうめとよのとかのとで大騒ぎとなる
はつを離れの座敷に連れていき、うめとかのの指示で急ごしらえの出産の準備がはじまりました
ううう
あさ・・・お願い帰らして
迷惑かけたない
えええから
お姉ちゃん、無事に元気な子、産まな、な?
はつが陣痛にくるしみながらもあさの立場を案じている、あさはその背中をさすって励ました
いよいよ生まれそうだといいうのでうめとかのにまさせて、あさとよのが廊下にでると正吉が事情を知って心配げに立っていました
そこへ今度は新次郎がパタパタと駆け込んできました
おはつさんが生まれそうやってほんまか?
そこへ元気な産声が響ました
生まれた!
大喜びのあさ
赤子の誕生を我が事のように喜ぼうとする新次郎にあさは負い目にも似た感情がよぎるがそうした全てを吹き飛ばすような元気な産声が聞こえてきました
やった!お姉ちゃんがやや子産みはった!
あさと新次郎はてを取り合って喜びました
男の子やろか?女の子やろか?
かいらしやろうなぁ かいらしやろうなぁ
どっちやろやろうなぁ どっちやろやろうなぁ
かいらしやろうなぁ かいらしやろうなぁ
この二人の掛け合いが息もぴったりとてもよかった
はつは元気な男の子(藍之助)を無事出産しました
可愛らしい男の子の赤子を世話しながら思わず
山王寺屋はんが潰れんかったら良い跡取りさんになってたのになぁ
女中がいらん事を言う
はつは数日、加野屋の世話になりあさや新次郎だけでなく正吉やよのにも見送られて玄関に立った
恐縮するはつに正吉が目出度い気分を味わえたなど暖かし言葉をかけました
ほんまおおきに、お世話になりました
はつが赤子を抱き、うめとふゆが荷持を持って玄関をでると、あさもちかくまで送っていこうと追いかけた
あさたちが行ってしまうと、急にしずかになり、よのが「ふう・・」と気の抜けた
声を出して正吉にからかわれる
先ほどからよのは「へぇ」とか「ふぅ」ばかり言っている
あれがうちらの孫やったら・・・
そない思いはりまへんか?もう私らかて
あないな可愛らしい孫がおってもちょっともおかしなことあらへんのだす
よのは跡継ぎの誕生を心待ちにしているだけに、つい、言わずもがな事を口にする
やっぱり・・・おはつさんがうちの嫁やったらよかったのになぁ
・・・・なんですねん、そら
新次郎は相手にしようともしない
ところが、外でがちゃんという音がして、まさかあと戸を開けてみるとあさが転んでいる
今の話聞いてましたんか?
いい、いいや、何も聞いてまへん
あさは妙に焦って立ち上がると、お姉ちゃんの青物の忘れ物を取りに来ただけだす
はつが赤子(藍之助)と帰る、栄達は首を長くして待っていた
いよいよ初孫と対面でき、栄達は好々爺の顔であやしている
なんちゅうかいらしい赤ん坊や!ええ?こんな子がいてるのに、お父ちゃん今頃何してますのやろなぁ
お前がなぁ無事に育つようにお爺ちゃんますます気張りますでぇ
ええ!
赤ちゃんがおうおうと声を出すので
嬉しそうにあやす栄達
お母様
抱いてやってくれまへんか?
赤ん坊を差し出すはつ
ほう~ら、あんたのおばあ様だっせ
これからお父ちゃんが帰ってきはるまでここで皆でたくましゅう生きましょうなぁ
置物みたいにチンとしている菊
菊も赤子が気になっているが一瞥しただけで、口をついて出るのは惣兵への憎まれ口です
これだけ長いこと帰ってけえへんいうのは、もう生きてんのかどないかわからへんわ
栄達が叱る
またおまえそないな事ゆうて!
しゃあないなぁ
本当は無事な顔が見たくてたまらないのだが、悲しいほど頑固になっている
はつは赤子を抱いたまま納屋の外に出る
旦那様・・・
うちらの子が生まれましたで・・・
早よ、早よ帰って来て
赤子を抱くはつの目が人前では見せなかった涙が頬を伝う