あさが来たで広岡浅子と五代友厚の二人を結びつけるモノとは?
NHK連続テレビ小説は幕末に生まれ財閥三井家から大坂の豪商・加島屋へ嫁入りした広岡浅子の生涯を描いたドラマです
ただのシンデレラ物語ではありません、昭和の時代に戦争を体験した日本人が高度成長の波に乗り経済大国になり一見豊かになったように見える生活の裏側に潜み噴出するさまざまな問題点
今までは夫の扶養家族としてなんとかやっていけ生活が、女性も学力や仕事を持たないと今を生き抜けなくなってきた昨今自分だけがこんな目にあうのだろう?どうしてだろう?
振り返ってみると、百年以上前の女性の地位が低かった時代に傾いた家業をなんとか立て直そうと新ビジネスに取り組む姿には眼から鱗が落ちました
夫も居る大きな後ろ盾のある女性が借金を申し込みに行ったり新しいビジネスを考える、普通は考えられないような事をこの時代の白岡浅子さんはやってのけていたのです
素晴らしい憧れのスーパーレディです
では、このドラマになぜ実際には、ほぼ接点がなかったこの二人が主役(ヒロイン)と準主役で登場するのでしょうか
それぞれの本を読む前にはとても不思議に思いました
ところが両方の本を読み上げた時絡みあう接点がみつかったのでした
東の横綱である渋沢栄一(しぶさわえいいち)はあまりにも有名ですが、西の横綱は五代友厚(ごだいともあつ)が務めます
今回のドラマは幕末の関西の経済界がモデルとなっていますが、この関西の経済界を築き上げた最大の功労者が薩摩藩出身の五代友厚さんなんです
連ドラ「あさが来た」でも一生懸命大阪の経済を復興させようとカンパニーを設立する時に大阪の商家の実力者である正吉にビックカンパニーを作らないと!と説得していました
正吉は英語が苦手なのでカッパのお話を謹んでお受けいたしますと言っていました
五代友厚が薩摩藩時代からコツコツと進めていた産業革命が明治日本の基礎作りに大いに役立っているのです
新政府が唱える富国強兵の中の「富国」の部分を五代友厚が担っていました、それは「東の渋沢栄一、西の五代友厚」と称される事でお分かりになると思います
浅子の実家三井家は幕末の早い時期から幕府を見限り新政府についています
薩摩出身の人物は他にも政界の西郷隆盛や大久保利通に相対しては経済界で五代友厚が最も力を持っていました
白岡浅子が三井家、薩摩藩の関係を通じてその影響を受けた可能性がおおいにあります
三井家は浅子の実家ですが情報収集を得意としており幕末には薩摩藩に肩入れをしております
幕府の御用商人として生き残れるのかそれとも幕府を見限って新境地を開くか苦しい選択だっと思いますが三井家はこれをやってのけたのです
実家の三井家が実業家として先見の明があり、その中で娘の嫁ぎ先は両替商から近代的起業に発展する努力をしました、白岡浅子は五代友厚の理想を実現した人物の一人になっているのも頷けます
現代の大阪市中央区本町の大阪商工会議所ビル前には五代友厚の銅像が建っているのはご存知でしょうか?
五代友厚は大坂証拠会議所の前身である大阪商法会議所(後に大阪商業会議所となる)設立の発起人の一人です、しかも初代会頭です
朝ドラ「あさが来た」では幕末には幕府に御用金のお沙汰があり苦悩している商人の様子が描かれていました
江戸時代を通じて天下の台所と言われた大坂ですが、明治維新の大改革の時には大きな打撃を受けたのです
このおかげでドラマでは山王寺屋が倒産して一家夜逃げをしますが、実際には2百年も続いた豪商の天王寺屋や鴻池屋などがバタバタと倒産しました
また加島屋も入っていた住人両替の一人である近江屋休兵衛も倒産しています、経済活動が著しく衰退していました
時代の波に対応できなかったお店は軒並衰退していったようです
広岡浅子の嫁ぎ先加島屋もその例外ではありませんでした
ドラマの中では正吉が蔵のお金が底をついたので思案の挙句、昔お金を貸した事のある奈良県の豪商・玉利友信(たまりとものぶ)に借金の申し込みにくというくだりがあります
実際は東京の金貸し毛利友信(もうりとものぶ)に既に借りていた借金が返せないので期限の延長のお願いに浅子が出向いていたのです、この期限の延
長がされなければ抵当に入っている家屋敷は毛利友信のものになってしまうという、まともな男でも肝を冷やすような案件です
交渉が決裂すると家が取られてしまうのですから
五代友厚は初代会頭を務めた大阪商法会議所はこうして衰退しきっていたお大阪経済再生の為の基礎になったのでした
関西の企業家魂が芽生えて近代産業が生まれる事になりましたが、花を咲かせ実となりました