はつとあさ対照的な娘の嫁いだその後が気がかり・父親忠興が見届ける
32回NHK朝の連続テレビ小説・あさが算盤を片手に帳簿をつけ炭坑の話をするとおいど(尻)を出せとお仕置きをする父
まだそろばんしてんのか?お前はぁ相変わらずやなぁ
わあお父はんや
思わず父忠興とあさが口をつまむ
今や日本経済の中心を担う実業家となっている今井忠興
加野屋の座敷では
また皆を困らせてるんでないか?
お茶を出しながら
へえと答えるあさ
正吉とよのが挨拶にできてて
ようきてくれはしたな
こちらへはお仕事で?
忠興がねんごろに挨拶する
商用もあったんですが
じきに東京に本拠を移してしもたらなかなか気軽にお目にかかる事も出来へん思て寄せて頂きました
よのが挨拶をする
それはわざわざおおきに
いつまでも口をつまんでいるあさに
もういいと言う忠興
で、お前は近頃どうしてるんや?
待ってましたとばかりにあさが話す
うちは石炭採る山買う為に九州へ行きたい思てますのや
はあ?九州?
炭坑やいうて石炭をほりだす商いがあるやそうだす
父ならいどんな意見や助言をしてくれるかと心を踊らせました
せや!お父さんからみて石炭はどないなると思いはります?
なぁお前が九州に行ったら、誰が旦那さんのお世話をするんや?
あああそれは・・
旦那さんの世話もせんと余計な事ばっかり考えて・・・相変わらずこのアホ娘が!
仕事の事ばかり考えていたあさを忠興が叱り飛ばす
こら~あさ!おいどを出せ(尻)!おいどを!
新次郎の目の前をあさを追いかける忠興が通過する
新次郎も久々に見るお仕置きです
パッシッ
痛い・・
パッシッ
そないに叩いたら痛いがな・・・
新次郎が叩かれている訳でないのに・・・痛々しい音がする
ああ痛たた
痛かった
あないに叩く事あらへん
うめに介抱してもらうあさ
あさちゃん!おいどはご無事ですか?
新次郎が声をかける
恥ずかしくてたまらずあさがその場から逃げ去る
一段落して正吉と忠興が縁側でお茶を飲みながら世間話をする
あんな娘でほんまに申し訳ありません
なんのなんの
私はあささんがここへ嫁に来てくれてホンマに良かったと思ってますのやで
まさか・・
今井さんに似て、えらい度胸と商才のあるお嬢さんでっせ
ほお~
時代の流れというのはもう両替商なんかではなりゆかんようになって来てますのや
そんな中でこの店を変えようとしてくれてはるのがあささんどす
ハッハッハッハ
あさが?不思議だと聞き返す忠興
はいはいはい
私もなあ私も今井さんくらの年やったら頭も柔軟やったんですけど
年とったら頭が固うてなってなぁさっぱりですへぇ
その上跡この取りの榮三郎はまだ幼い
後見人の新次郎はええ年してこう~・・なんやしっかり育ってますなぁという訳にもいかんような有様でしてなぁ、私の若い時に似てるよな気がしますんやけど・・・
その新次郎でさえもがだっせ!なんか~あささんのおかげで少しずつ
変わって来ているようなそんな気がしてますのや~
あささんのどんな事があっても「あら~びっくりぽんやぁ」言うてぽーっと受け止めはるあの柔らかく受け止めるのが今の加野屋には絶対に欠かせん事なんですなぁ
皆が加野屋はんのように思うていてくれる訳ではございません
忠興は
ほんまおおきに
ええとこに嫁がさせてもうて
と頭を下げる
正吉は手を振り振り
何をおっしゃる
こっちこそええお嬢さんを頂いておおきに
深々を頭を下げる正吉でした
その様子は襖の向こうで新次郎が父親同士の本音で語り合うのを聞いていました
あさは新次郎の嫁らしく旦那様の着物のほころびを縫っています
あさの様子をみて安心した忠興は今度は心配な姉娘のはとを見に行く
はつがいる畑では
はつが畑で躓くと
きいつけてや!
栄達がかけより励ます
すんまへん足手まといになって
足でまといやなんて
あんたには一縷の望みがかかってます
あんたのおかげ今の生活にも張りができましたや
大事な山王寺屋の跡取り
わしらがちゃんと育てますよってな
おおきにお父様
これからおとうちゃんでええわ
おふゆさんもなあ
旦那様でなくておとうちゃんでええ
へえそうさせてもらいます
おおきにおとうちゃん
ん!頷く栄達
おはつさんは生き生きされておられますなあ
忠興とあさとうめが3人並んで見守る
農作業をしていてふと目を上げる栄達
なんと
忠興が見守っているではないか
他のはつもふゆも気がついていない
栄達だけが気がつく
栄達に深々と頭を下げる忠興
すまなそうな顔をする栄達
ほんまにおうて行かんの?
あさを見つめる忠興
うちとお姉ちゃん同じように大坂に嫁いで来たのに、まるで行き方が変わってきてもたなぁって思うて
山王寺屋のお母さまに言われたんどす
家潰れたのが自分やのうて姉ちゃんで良かったと思てるんやろうって
そやけど何が幸せかなんてわかれへん
なんやら大人びた事いうて
これでもちょっとは大人だす
うめが笑う
笑わんといて
炭坑は日本の国力を増すある事業や
京都でも鉄道会社設立の動きがある
これからの石炭発展は間違いやろ
けど難しいななあ
炭坑には手負えん荒くれもんも多いらしい
よっぽどしかりした男が棟梁でないと
うちにできましまへんやろかその棟梁というの
うめがたしなめる
旦那様はりっぱな男をおっしゃってます
無理やろ
立ち止まってホンマにできるよう!考えてみい
それでもできるん思うんやったら助けはせんが勝手に頑張れ
お前にとってお家を守るん言うことはそういう事やなんやろ
え?
おおきにお父はん
忠興の言葉はあさにとって何よりも応援の言葉となった
忠興ははつとあさの二人の娘が別々の道を力強くたくましく生き抜いている姿をまぶたに焼き付けて京都へと帰って行きました