まれただのだらふわ圭太と熱い心夢を追いたい
俺もお前にふさわしい男になりたいってずうっと思うとった
輪島市長選に出馬した圭太のお父さん紺谷博之は無事に市長に当選しました
塗師屋で当選おめでとうの宴会が繰り広げられています
そんな宴会が繰り広げられていても何食わぬ顔で圭太は漆の仕上げをしています
希も圭太のお母さんも心配顔です
圭太にみのりから電話が
一徹から電話があって
んんんなんも
もう少し探したいさけ予定より遅くなるってゆうといてって
一徹間に合ってよかったわ
お父さんに怒ってばあっかしで
ちゃんと理解しようとしてこんかったって
もしみつけたらなぐってでも
向かい会ってみせるって
最後のチャンスになるやろうからって
言(ゆ)うとったわ
一徹の決心をみのりから聞く圭太でした
博之に祝辞を述べる希
お前何か大きなコンクールに出るんやってな?
まあ頑張れや!
今まで部屋の片隅にいた圭太がいきなり立って
博之の前に出てきた
失礼しますと言って
博之の前に出てきたので息を呑み見守る希と姑の直美と4代目弥太郎です
この度は輪島市長当選おめでとうございます
今後共輪島塗を宜しくお願いします
塗師屋を代表しての言葉でしょうか
空々しい感じの他人行儀な言い方の圭太でした
それでも圭太が大人になって父親に祝いの言葉を言えるようになったのでした
お父さん・・・・
酒を酌み交わす圭太と博之
安堵して顔がほころぶ四代目弥太郎と直美
圭太と博之のやり取りを見て羨ましいと思う希でした
宴会も終わり、外浦のボラの櫓(やぐら)の前で語り合う希と圭太
お父さん喜んどったね
そうか?
私はお父さん(徹ちゃん)にな~も言われんかもしれんさけ
帰って来んつもりやろ
言いたいこと沢山あるがに
いつもそや
店やれちゅうといて自分はおらんがになるし
希なんて名前つけといて
夢おっちゃあ嫌いになるような事ばあっかしして
ここで徹への想いがいっきに噴出してきました
俺は一度も思うた事なかったけど
ん??
お前が夢嫌いやって
いうけど心とは裏腹やと思う
高校の時再会した時、確かに口ではゆうとったけど
全部裏返しに聞こえておった
熱い心抱えとるやなぁって
感心する希
ただのだらふわした男かと思うとったけど
違うげんね
ダラフワ?
ただの~
だらふわ
*だらふわの意味は馬鹿な(気持ちがフワフワしている)浮かれた男
なに?
まてま
私は
圭太と一緒に夢追いたかったん
まっすぐに夢を追う背中に
着いて行きたかってん
俺もお前にふさわしい男になりたいってずうっと思う取った
最近思うんやけど
良い器っていうのは
作りての中身なんやな
中身?
自分自身おっちゃあさらけだして器に込める
ほれや人の心をっちゃあ動かすげんな
自分自身をっちゃあさらけ出す・・・・・
この言葉が希の心に深く突き刺さった
目を閉じると昔の自分が蘇る
十代の小学生の夏に能登にやって来た
元治さん文さん
圭太や一子
高志(たかし)に洋一郎
仲間達に出会った
高校生になった時にみんなで能登の祭りでキリコ灯籠を担いだ想い出
圭太をいつの間にか好きになっていた自分
パティシエになろうと決めていた自分
結婚して店を持った自分
赤ちゃんを産んで店を再会できた自分
走馬灯のように頭の中を駆け巡って行く
そうだったんだぁ
見えた!
私のケーキ
自分の世界が見えて来た瞬間でした